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文文文(bunbunbun)

 

記録映画に関わって  片倉正忠  

2009年9月掲載

 

 映画をそのジャンルで分けて、文芸(ドラマ)と記録(ドキュメンタリー)とするならば、私が関わっている仕事は後者の記録映画です。
今、主に取り組んでいるのは、長編小説『橋のない川』の著者、住井すゑを描いた記録映画「住井すゑ・百歳の人間宣言」と、昨年からブームにもなっている小説『蟹工船』の著者、小林多喜二のドキュメンタリー映画「時代を撃て・多喜二」(両作品ともスタンダード・カラー、16mm/35mm)の普及です。
この二つの作品は、大田区内では、多くの方の協力を得て、数年前、アプリコホールや大田区民プラザなどでも上映会を催していただくことができました。
 こうした自主制作映画は、大きな映画会社の配給による上映形態とは、かなり違いがあります。主要都市にあるようなロードショー館ではとてもお目にはかかれません。ではどんな所で上映されるかというと、地域の中小ホールを借りるとか、人数がそれほど多くないときは公共の建物の貸し会議室であったり、時には学校の体育館をお借りしたりする時もあります。また、大都市にはキャパシティー(入場可能な席数)が小さく、上映期間も短い、自主制作の作品上映が中心の映画館がありますが、そういう所で上映されることもあります。
 何れにせよ上映会の日を迎えるまでは、主催してくださる方とともに、会場設定から様々な団体回りなどの営業、マスコミ対策、宣伝物の印刷やチケットの製作などをこなします。そして迎える上映日、その本番では映写技師までやることも稀ではありません。
 たくさんの観客の方々に入場していただき、上映会がはねて、 作品の内容に満足して、「来てよかった」と言っていただければ、すべて報われるという仕事です。いつも上映後、アンケートを見せていただきますが、これが楽しみのひとつです。
 映画会はだれでもが主催者になることができます。私たちとは、ご相談のあったときから映画会が終了するまでの長い(?)お付き合いとなります。
 つい最近、日本の統治時代に学校教育を受けた台湾の「最後の日本語世代」を追ったドキュメンタリー映画が朝日新聞で紹介されていました。この作品の監督は団塊ジュニア世代の人だというのです。自分が生まれる以前の歴史の断片を探り、映像化するということに挑戦したのです。日本には優れた記録映画がたくさんあります。にもかかわらず、上映の機会の少ない作品が、埋もれているのはもったいないと感ずることがあります。どなたも「記録映画」ということで敬遠せず、積極的に上映会に足を運んで頂ければと切に思います。
 そのような訳で、上映会を主催することに少しでもご関心がありましたら、いつでもご連絡下さい。どのようなことでも、ご相談させていただきます。前述の二つの映画は、製作されてから数年が経過していますので、当初の既定の上映料にかかわらず、ご希望の条件に合うような上映会のあり方をご一緒に考えたいと思います。映画の宣伝の材料としては、チラシ、ポスター、これらの映画のシナリオ付きパンフレット〈シネフロント別冊・700円〉などがあります。プロジェクターによる試写会も可能です。
 上映の機会があれば全国どこへでも喜んで出かけて行きます。また、上映会だけではなく、2つの作品がDVD化されていますので、機会を得て観ていただければ幸いです。

●片倉正忠(かたくら まさただ)
 田園調布南在住
 

 

 

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